口の端をつり上げ、ベリルに向き直る。

「人間からの情報も欲しいと思っていた。こいつなら色々と教えてくれそうだ」

「私を利用したいか。いいだろう」

 小さく笑ったベリルに、波旬は近づく。

「!」

“ダダダダ!”

「えっ何!?」
「さあ……」

 突然、部屋から駆け出した波旬を、ベリルは唖然と見送った。

「まあよろしくな」

 ベリルは邪鬼にそう言って立ち去る。

「なんなんだ」

 1人残された邪鬼はぼそりとつぶやいた。

「……もう行ったか?」
「! 波旬。何してるんだよ」

 おずおずと波旬は部屋に入ってくる。

「……何それ」

 波旬の姿に、開いた口がふさがらない。頭をかきながらドアを閉める波旬のその姿は……