「気をつけろ」
「あ、ああ……すまんベリル」

 そしてスタスタと再び歩き出す。

「……」

 セシエルはそれに、目を丸くした。

「おまっ魔法が使えるのか!?」
「最近、覚え始めた」

「でっでも今の、冷気の魔法だよな」

「どうも私の属性は冷気らしくてね。その系統は割とすんなり覚える」

 セシエルは言葉が出なかった。

 こいつ……ウォーロック(魔法戦士)かよ。

 今までもいなかった訳じゃない。しかし、どちらも使うという事は両方が中途半端になる。という事だ。

 剣と魔法の両方を使える事は便利ではあるが、その分どちらにも目を向けていなければならず、それはどちらも極められないという事になる。

 一長一短な訳だ。しかし、彼の剣術はもはや誰にも引けを取らない。

 セシエルは一瞬、ゾクリとした。

 こいつなら……両方を極められるんじゃないか?