「はあ」

 差し出された手に応えるグレード。栗色の髪が、まだ幼さの残る顔立ちを大人びて見せる。

「……」

 ベリルは癒しの民、特有のアイボリーの瞳を見つめる。そしてベッドに寝ころんでいた青年に目を移した。

「そちらの方は付き添いか?」
「おう、バジルだ」

 気さくに手を差し出すバジル。年の頃はベリルと同じか。

「癒しの民がいるのは心強い。戦闘では動き回るかもしれんが、よろしく頼む」

「動き回る?」

 ベリルの言葉に、グレードは怪訝な表情を浮かべた。

「動く相手だぞ、立ち止まったままでの治療など考えてはいけない」

「! そうか……確かに」

 そして、机の上にある材料にベリルは目を細めた。

「火傷の薬かね?」
「よく解りましたね」