「おっさんのはその剣?」

 いつまで失礼なんだひーくんはっ! キクはいつ怒られるか気がきでなかった。

「ん? これかね?」

 ベリルは鞘(さや)から剣を抜く。

「へえ……」

 思ったほど豪華でもない剣に、ヒイロウは少し拍子抜けした。

「私はシンプルなものが好きでね」

 少年の考えを察したベリルが、丁寧に剣を手に乗せて言う。

「でも、不思議な輝きだね。ひーくん」
「んぁ? ああ、そうだな」
「ミスリル銀で造っているからね」

 優しく応える。

「みすりる?」
「特殊な金属だよ」

 言いながら、剣を鞘に収める。

「ヒイロウ」
「んぁ?」

 ベリルは険しい顔になり、少年を見つめた。