「おいっもしかして、断るっていうんじゃないだろうな?」

 セシエルは、ベリルの後を追って問いかけた。

「さて、どうかな」

 しれっと応えるベリル。集落の中を見回しながらゆっくりと歩みを進めた。

 子どもの笑い声と、たわわに実る作物。ベリルは目を細める。

「うわっ!?」

 そんな声のする方に目を向けた。すると、おこした火が予想よりも大きくなって男たちがあわてふためいている。

「ありゃ? やべえな。水持ってこないと」

 セシエルが困ったように眉をひそめる。

「……」

 ベリルは小さく何かを口走り、左手を火の方にすっと向けた。

その時──

「うおっ!?」

 火は何か冷たいものにかき消された。