「私という存在が、彼らの命を奪った事に変わりはない」

 それだけは逃げる訳にはいかない。

 そうでなければ、私が学んだ事のあらゆる全てが無駄になる。

 この心の痛みも、一つの私の記憶と学びに他ならない。

 弱さを知った事で強さを学ぶ事が出来る。

 私にとっての間違った道を選択せずに済む。

「それでも、手にした自由に歓喜しました」

 哀しみと共に訪れた自由への扉──躊躇いながらも、それに手を伸ばした。

「あなたと出会い、傭兵という仕事を学び、私は持てる力の限りを活かしている」

 あの頃に適わなかった自分の意思で、足で動いている。

「ですが、そうすればするほどに」

 心には大きな責任が積み重なっていく。

「私の行動一つで、目の前の命を救えない」

 そんな危うい状況が幾つもあった。

 仲間が危険に晒されることも、自分の命が危機になることも──それらは、傭兵という道を選んだ自由から起こることだ。

 紛れもなく、選択の自由のうえにある。