どの大学も優秀な人材は欲しいものだ。

 大学側の思惑が透けて見えて、カイルは思わず乾いた笑みを浮かべた。

 しかし、大学は幾つ通っても構わないのだから、短期間での在学なら急ぐ必要もなかったように思われたがベリルは元より、いち大学だけ通いたいと言ったのかもしれない。

 そうとなれば大学側も、どうにかしなければならない。

 これは、特に意味もなく説明したベリルの勝ちだ。

 実のところ、カイルはベリルに傭兵という仕事から少し離れて過ごして欲しかったのだ。

 この二年というもの、ベリルは仕事が無いときはカイルと過ごしていた。

 それが鬱陶しいという訳ではなく、戦いばかりではいけないと考えての提案だった。

 しかし、一週間では若者たちとの交流もしていなければ、のんびりもしていないだろう。

 教授顔負けの成績に、ほぼ全ての学科でベリルだけに組まれた特別講義を受けていた。

 こいつ、一週間で論文を書き上げて卒業しやがったのか。

 ケイ素と重合体の多様性ってなんだよそれ。