──そうして一年が過ぎ、弟子という枠を越えて仲間たちもベリルを信頼するようになっていた。

 独り立ちするのは思ったよりも早いかもしれない。

 ただ知識を持っているだけじゃなく、それらを確実に活かしている。

 カイルは、手際よく次の仕事の準備をしているベリルを眺めながら、

「お前、大学行ってこい」

「は?」

 唐突なカイルの言葉に眉を寄せる。

「何故でしょうか」

 その質問は当然だ。

 学歴はあまり関係のない世界にいる。

 それなのに、カイルはどうして大学に行けなどと言ったのか。

「いま幾つだ」

「十七です」

「傭兵っていうのはな、意外と表の世界とも通じている部分が多いんだ。お前、頭はいいが学校には行ってないだろ」

「それはそうですが」

「なんか箔(はく)の付くもん持ってた方が、何かと便利なんだよ」

「はあ」

 そう言われればそうかもしれない。

 カイルはこれでも大学を出ている。