何発目かで額に命中し、走りやすい地面を探して駆け出す。

 走りながら確認すると、少女には当たっていないようで安堵した。

「ベリル! 無事か!」

 なんとか戦闘から脱したカイルがヘッドセットに声を張る。

 互いの戦力が一時的に衰えたのか、耳に届く爆音も減ってきている。

 他の仲間もランデブーポイントに急ぐと、ベリルが少女を抱きかかえて立ち尽くしていた。

「ベリル」

 その光景に、カイルは思わず息を呑む。

 まるで、こぼれ落ちようとする命をすくい上げるために、懸命に抱きしめているように見えた。

「血だらけじゃねえか」

 背中を叩き、ひとまずの戦闘の終わりを告げる。

 そのときに浮かべたベリルの笑みは、いつまでもカイルの記憶に残るものとなった。