──無政府状態のため内乱が続いているなかで、カイルたちは逃げ惑う住民を捜索し救出していく。

 あちこちから聞こえる銃声に注意を払いつつ、仲間たちは動き回っていた。

 カイルのような傭兵は多くは無いが、それなりにはいるようだ。

 自然と集まった仲間なのか、付き合いは長いらしい。

 ベリルはふと、スナイパーライフルに持ち替えてスコープを覗く。

「十二時の方向、カイルからおよそ二十メートル先に兵士。政府軍ではないようです」

 ベリルからは百メートルほど離れている。

 十五人ほどの仲間は散り散りに捜索しているため、それらを把握するのは簡単じゃない。

 ベリルの報告でそれぞれ自分がいま、どの位置で何があるのかを把握する。

 全てを報告してはいられないからだ。

<警戒しててくれ>

「ブルーノが気付かれました。戦闘になっています」

<すまねえ! 見つかった!>

 ベリルの報告と同時にブルーノの声がヘッドセットに響いた。