──東アフリカ某国。

 無政府状態により争いが止まず、町が分断され取り残された住民の救出をカイルたちは行っていた。

<もうちょい右だ>

「了解」

 ヘッドセットから聞こえてくるカイルの声に、ベリルはライフルの銃口を右に向ける。

 あのあと、アメリカに入るまでの間にカイルはベリルの偽造パスポートなどの手配をした。

 パスポートと出生証明書が出来るまでベリルはカイルの家に閉じこもり、世間についてを学んでいた。

 閉じこもっていたとはいえ、買い物くらいは外に出ている。

 ベリルの場合、偽造というよりも元々なかったものなのだから作成という言い方でも問題はないようにも思われる。

 そうは言っても出身をアメリカにしたのだから、やはり偽造ということになるのだろうか。