「お前の心臓はタングステン製か。なんて言われたぜ」

 軍に迷惑をかけたくなかったことも辞めた理由だ。

 勝手な行動で仲間を危険に晒すのはカイル自身も望むものじゃない。

「勝手な行動」

 ベリルは殴られかけたことを思い起こす。

「それ以上は言うなよ。いいな」

「構いませんよ。殴られてはいませんから」

「このやろう」

 思っていたよりフランクじゃねえか。

 これなら上手くやっていけるかもしれない。

 親しみやすい部分があれば、それだけ早く仲間も出来る。

 行き所のない感情も、やがて待ち受ける苦難も。こいつは全てを乗り越え受け入れて行くのだろう。

 俺は心底、楽しんでいる。