「孤児か?」

「そんなところだ」

「なるほどね」

 バートはそれ以上は尋ねず、ついてこいとジープに乗り込んだ。

「友人が多いのですね」

「ああ。軍にいたときの奴もいれば、傭兵になってからの付き合いの奴も色々だ」

 カイルは軍にいたときは優秀という訳ではなかった。

 むしろ、上官には厄介な部下だった。

 つまりは、軍人としての心得を気楽に破る輩だったのだ。

 目の前に怪我人や子どもがいれば、それが敵であろうとお構いなしに駆け寄り救助する。

 重要な作戦中であろうと関係なくそれを行い、上官にはこっぴどく怒られてもまったく動じない。

 自分は軍人には向いていないと早々に軍を離れた。