「ああ」

 なるほどと素直にかける。

 ここまで捜索している気配はまるで感じられないものの、国を出るまで安心はできない。

「とりあえずドイツの国境を越えるまで送ってくれるとさ」

 走らせる車の中で説明する。

 前方には軍のジープが先導していた。

「ベルギーで船に乗ってキューバに向かう」

 キューバからメキシコ、そこからアメリカに入る。

 メキシコでは未だ麻薬の密輸を続けている者が多く、摘発されたいくつかのルートが封鎖されずに残っている。

 慎重に動きすぎだとは思うが、今回ばかりはそうならざるを得ない。

 とは言いつつも、実際はベリルに少しでも多くの国に触れる機会にもなると考えていた。

 少なくともアメリカまで、立ち寄りはしないが四つの国を通り過ぎる。