たゆたう波の終わり

 少年は声に驚いて男の右斜めに腰を掛ける。

 腰を落とした切り株はずいぶんと古いもののようで、かつてここは管理された森だったことが窺えた。

「それでいい」

 にっこり笑って狩ってきたウサギを脇に置き、ステンレスカップを取り出して温かいスープを注いだ。

 少年はそれをじっと眺める。

「ほらよ」

「あり、がとう、ござ、います」

 カップとスプーンを受け取り、すぐに口にはせずカップをじっと見下ろす。

 中身は鶏肉らしきものと、ブロッコリーやセロリに豆が沢山入っていた。

 匂いからしてチキンコンソメ味か。

「毒なんて入ってねぇぞ」

「いた、だきます」

 少年はまず、液体だけをスプーンですくい取り、それをじっくりと飲み込んだ。

 焦らずに二度三度とそれを繰り返す。