とはいえ、それほど大きい国ではないため、個々の基地にさほどの差はあまりない。

 ベリルがいた施設の隣にあった基地は最も小さく、軍の機能はほぼ無かった。

 研究所を軍の施設として成立させるための仮の基地に過ぎなかった。

 そのために襲撃には対応出来ず、施設は壊滅した。

「なんだよ。タクシー代わりにするなよ」

 彫りの深い顔立ちに青い目、少し癖のある栗毛でガタイの良い男は、眉間にしわを寄せてカイルに応える。

 名はコンラート。カイルより四つほど若い。

「こんな派手なタクシーこっちから願い下げだ」

「なんか問題でもあったのか?」

「そういう訳じゃねえんだが。ちょっとな」

「あのガキはお前のガキか」

「まあそんなとこだ」

「どこの女に産ませた」

「いいから話を戻せ」

 にやつくコンラートを軽く睨みつけ、せっついた。