当惑しているベリルを見やり、いきなり国を決めろというのは、そりゃあ困りもするかとカイルは多少の申し訳なさを感じた。

 二人は考えあぐねて沈黙が続く。

「とりあえず」

「はい」

「空軍基地に着くまでに考えとけ」

「わかりました」

 行き先を変えたカイルに応えて思案した。




 ──基地に到着したカイルは、友人とおぼしき男と顔を合わせ、何やら話し合っている。

 正規のルートではアルカヴァリュシア・ルセタから出られないため、軍の力を借りようというのだ。

 他にもいくつか国境を越えるルートを知っているが、そのなかでも軍の力を借りる方法は安全といえる。

 町から東に二百キロメートルほど車を走らせると、平原にある空軍基地に着く。

 国土の西にある首都からは遠く、基地では二番目に大きい。