「私は、自分自身で世界を知りたかった」

 画面に映されるものではなく、眼前に広がる世界に手を伸ばしたい。

「この手で、肌で触れたかった」

 ほんの一瞬でもいい。果てしない大地というものをこの目で見てみたい。

「──っ」

 カイルは、閉じたまぶたに力を込める。

 やはりまだ、全てを信じ切れてはいない。

 しかし、全てを嘘とも思っていない。

 話していた様子から、大体は真実なのだろうと理解はした。

 信じ切れていないのは、俺にとって、あまりにも非現実的だったからだ。

 一般人からすれば非現実的だと言われてもおかしくはない仕事をしていても、それとはまた違った世界に即、馴染める訳じゃない。