*そのときまで



 お互いに寝付けなかったが向こうを向いて膝を折り、まるまって静かな寝息を立て始めたベリルの背中をカイルは見つめた。

 緊張の糸が切れたこともあるのだろう。

 出会った頃の苦悩した様子はない。

「いやしかし、狭い」

 ガタイの良いカイルは起こさないようにと、なるべく側(がわ)あおりに寄る。

 なんとなくこっちが遠慮してしまうのは、やはり少年に起こった出来事を聞いたせいだろう。

 まるまって寝るのは元々の性格によるものなのか、精神的なものなのかは解らない。

 ──寝付いたことを確認し、ベリルの言葉を反芻(はんすう)するため目を閉じる。

 話のあとカイルはさりげなく、待っていれば国の人間が来たんじゃないか。と問いかけてみた。