「その顔に寄ってくる女避けにはなるかもしれねえがな」

 それにベリルは怪訝な表情を浮かべた。

「え。なに。お前、自覚ないの」

「初耳です」

「マジかよ」

 好き嫌いは差し置いて、どう考えてもまず顔に目がいくのは明瞭だ。

 そういう環境にはなかったのかもしれないが自覚くらいは──ある訳ないか。

 こいつ、鋭いようでいて鈍いところもある。

 手際もマナーもよく上品で温室育ちかと思いきや、雑な部分を嫌ってはいない。

 ブルーという人物は、戦術だけでなくサバイバルについても教え込んでいたんだろう。

 加えて、順応性がそもそも備わっているのかもしれない。

 カイルは困惑しているベリルを見やり、暗い平原に目を移す。

 まだ信じ切れないところはあるが、こいつは人が死ぬということを知っている。

 あのとき飛び出したのも、それが理由か。