「ん? これか?」

 ライフルに手をかける。

「なんでも、ありま、せん。失礼、しました」

「待てよ」

 たどたどしく発し慌てて離れようとする少年の耳に、ガシャリという音が聞こえて振り返る。

 男の顔は無表情ながらも、ライフルは確実に少年に向けられていた。

「──っ」

 その銃口に少年は息を呑む。

 しかし、

「腹が減ってんだろ? 食べていけよ」

 そう言って男は口の端を吊り上げライフルを地面に寝かせた。

 それに安堵するも、警戒心は解けず男の誘いに目を眇める。

「いいから座れ」

 ちょいちょいと指で示すが、そこから動かず煮え切らない少年の態度に男は苛ついた。

「し、かし」

「ガキが遠慮してんじゃねぇ!」

「っはい」