「んで。そのお前がなんで、ここにいるんだ」

 問われたベリルは体を強ばらせる。

 詰まる喉に顔をしかめ、声を絞り出した。

「施設が、何者かの襲撃を受けました」

 毛布を握るベリルの手に力がこもる。

「目的は私しかあり得ない。なのに、ブルーは私に逃げろと」

「ブルー? そいつが兵士か」

 ベリルは苦い顔で頷く。

「私を除く、そこにいた全ての命が奪われました」

 奮い立たせて語る声は、今にも消え入りそうにか細い。

「そうか」

 三百人の命を、こいつは十五歳で背負っちまったのか。

 誰一人、救えなかったことを悔やんでいる。

 経験というには、あまりにも残酷だ。

 出会ったときの言語障害はそのためか。

 むしろ、よくそれだけで済んだものだ。

 ブルーという奴は、確かに優秀な兵士だったかもしれない。

 精神の落ち着け方を、こいつに教えていたんだろう。