「人工生命体と言えば解りやすいでしょうか」

「お前。それ、本気で言ってんのか」

 そんなカイルの引きつった笑みにも、ベリルの目は真剣だった。

「あの施設では、ベルハース教授指揮のもと、現存する人種のヒトDNAを集め、人の胎内を介さずに人間を造り出す研究がなされていました」

 そこで一度、カイルを見やる。

 彼の表情は、ベリルが思っていた通りの複雑なものだった。

 カイルは、考えが追いつかない話に眉間のしわを深く刻む。

 こいつの言っていることは本当なのか?

 信じるに値するものなのか。

 その要素を見つけられずにいた。

 ベリルはそんなカイルから視線を外し、話を続ける。

「クローンでは一個体分のDNAでしかなく。さらに、DNAの結合体としてでもなく、子宮内での成長が必要です。彼らが求めた者は──」

 一端、言葉を切ったベリルの手は微かに震えている。