──食事も済ませ、片付けたらあとは寝るだけだ。

「荷台で寝ようぜ」

 荷台の縁(へり)を叩いてカイルが提案する。

 ベリルはそれに眉を寄せた。

 てっきり、地面に寝袋にくるまって寝るのかと思っていたからだ。

「荷台で、ですか?」

「這い回る虫に悩まされずに済む」

 言いながら毛布と寝袋を荷台に投げ入れる。

 なるほど、それで焚き火をしていないのか。

 ベリルは車の脇に置かれた練炭と森で拾った薪を見やる。

 町から遠いこの場所は、心地よい虫の音と夜行性の鳥の声が夜を彩る。

「やっぱちょい窮屈だな」

 荷物に寝袋を被せ、枕代わりにする。

 大型とはいえ、さすがにゆったりという訳にはいかない。

 ベリルは膝を折り、カイルは後ろあおりに足を乗せて空を仰いだ。