それが嘘ではないことは、彼の表情から見て取れた。

 傭兵には色んな人間がいる。

 カイルはそのなかでも特殊といえた。

 アメリカでは傭兵の会社がある。

 そこに所属し、それぞれに仕事が振り分けられる。

 企業であるだけあって、多くの保証がなされている。

 しかし、カイルはそういうものには属さず、フリーを通している。

 何から何まで自分でこなさなければならない苦労はあるものの、仕事を選ぶにはフリーでいなくては難しい。

 とはいえ、仕事をあっせんする会社や、仲間たちからの要請などで生活にはそう不自由はしていない。

 カイルは、救出に関することを主に請け負う。

 父の死を納得はしていても、やはり市場が関係するような戦場は避けたいのだろう。

 ベリルは、飯ごうを確認しているカイルを見つめる。

「私は知識があるというだけで、この世界を理解はしていない」

 妙な物言いにカイルは片目を眇めた。