──撤収作業を終えカイルは車に乗り込んだ。

「どうした。乗らないのか?」

「構いませんか」

「別に悪かないぜ」

 乗って良いものかどうか計りかねていたベリルは、安堵したように口元を緩める。

「おう、ベリル!」

 ジャンの声に振り返ると、投げ渡されたものを目で追い、落とすことなく上手く掴み取った。

「これは」

「お前の報酬」

 笑って指を差し遠ざかっていく。

 手にあるものを見下ろすと、革の鞘に収められた小型のサバイバルナイフだった。