たゆたう波の終わり

[貴様があいつに何か吹き込んだのか]

[やめろと言ってるんだ]

[今の現状を、良しとは思っていないのでしょう?]

[なんだと?]

[虚しさを感じた事はありませんか]

[知った風なことを!]

 彫りの深い顔に少しの戸惑いが浮かぶ。

 ただ殺せと命じられ、人を殺した。

 生き残れば貰える報酬に満足し、また次の殺しを命じられる。

 毎日を誰かと戦っていた。どんな奴かも解らない。

 それが生きていることだと言い聞かせた。

 それでも、戦場で自分とは違う生き方をしている人間を目にして疑問を持たない訳じゃなかった。

 俺には家族がいるんだと叫んだ男の頭に撃ち込んだときも、何も感じなかった。

 それが普通だと思っていた。

 しかし成長するにつれ、自分は何をしているんだろうと考えるようになった。