一歩遅く到着したB班だが、未だにどのチームも建物内に侵入出来ていない。

「チッ。敵の食料が尽きるのを待った方がよさそうだ」

「飢餓状態の相手は何をするか解りません」

 つぶやいたカイルにベリルは淡々と応える。

「しかし、室内戦にならずには済んだかもしれない」

「敵が重火器を所持している場合、室内戦に持ち込んだ方が、こちらの戦力を大幅に減らされる危険は無くなります」

「お前、言うね」

 確かに、室内で使うには重火器は向かない。敵がそれを持っていないとは言い切れない。

「余計なことを言いました」

「別に怒っちゃいねぇよ」

 ベリルの頭に軽く手を置いた。

 少年はそれに複雑な表情を見せる。

 そういう事をされるのに慣れていないような、そんな顔だ。

「中の状況が掴めない」

 カイルたちBチーム、西の班の壁には大きめの窓があるだけで侵入には困難を極める。