「壁もあちこち崩れていて、使えそうな部屋はほとんどないらしい」

 二階は主に生活空間らしく、南奥には客間があり、そこは角の部屋で窓が二つある。

 敵が集まっているとすれば寝室かリビングだろうと推測していた。

「窓ガラスは?」

 もっとよく見ようと、ベリルは片膝を突いて見取り図に目を通す。

「全部割れてるって話だ」

 いくつかは板で内側から閉じられているらしい。

「そうですか」

「ガキ。何やってる」

 カイルは違和感なく仲間の中にいるベリルに眉を寄せた。

「地形や建物だけでも把握しておこうと」

 言って立ち上がる。

 動くなと言われていたことを忘れた訳じゃないだろうに、興味が先に立ったのか。

 好奇心は旺盛のようだ。

「お前、戦場は?」

「初めてです」

 それにしちゃあ、随分と手慣れているというか、場数を踏んでいる感じなんだが。