カイルは、そこを動くなとベリルに言い残し、指揮系統が集まるテントに入った。
「相手は何人だ」
「三十人程度らしい」
数人いるうちの一人が答える。
「そうか」
こちらは二十五人と確かに苦しいな。
デスクに広がっている建物の見取り図を見下ろしてあごをさする。
「あん?」
テントから出ると、地べたで廃屋の見取り図を見ている数人のなかにベリルも混じって会話をかわしていた。
「大きいですね」
「だろ。部屋数も多い」
見知らぬ少年が上からやり取りを見下ろしていたときは驚いたが、カイルが連れてきたと知って男たちは安心したのか、そのまま会話を続けていた。
一階のエントランスはとても大きく、両側に階段が展開されている。
階段真ん中にはパーティでも開く部屋なのか、扉の向こうに大きな空間が設けられていた。