──ここはアルカヴァリュシア・ルセタ。

 ヨーロッパにある小国だ。

 国土の三分の一は広葉樹林が広がり、温暖な気候で首都以外はあまり発展していない。

 大きな産業もないこの国は、決して裕福とは言い難い。

 主に科学技術において秀でていた国だが、昨今の世界各国におけるめまぐるしい発展にその技術の輸出すらも脅かされ、まさに風前の灯火となっている。

 二万人にも満たない人口であるため、細々とだが国民はそれなりに幸福感を持って暮らしている。