こいつは、そんなことまで考えて武器を持っているのか怒鳴ってやりたい気分だ。

 のほほんとしやがってと口の中で愚痴りながらわしわしと頭をかく。

 しかしカイルは、やり取りのなかでベリルの小さな反応を見逃さなかった。

「A国からの要請」

 ジャンのそのひと言に一瞬だが、体を強ばらせ目を泳がせた。

 その目の動きは、まるで何かを探しているように思えた。

 あれは、政府の関係者がいないかを確かめたんじゃないだろうか。

 依頼だけして様子を見にも来ないと聞いたとき、ベリルはどこか安堵したように見えた。

 この国の政府に関係しているのか?

 そうすると、このガキは政府から逃げていることになる。