*躊躇いと戸惑い




「とにかく。そういうことなんで」

 ジャンはカイルの背中を叩いて遠ざかる。

 どういうことなんでなのかとカイルは苦い表情を浮かべ、南を見つめているベリルを見下ろす。

 まったくこのガキ、自分がどういう状況なのか解っているのか。

 止めることも出来たのに、本人が乗り気ではそれもままならない。

 正直、こんな子どもを使いたくはない。

 ジャンはただ撃ちまくればいいと言ったが、無事で済む保証なんてどこにもない。

 予想だにしない所から流れ弾は飛んでくる。

 どんなに理解していても、それで命を落とした仲間は大勢いる。