「土地の所有者は」とカイル。

「買ってすぐ事故で死んじまった」

 それからずっと放置されていた土地だ。

「ある意味、いわくつきの土地か」

 カイルは小さく唸り、苦い顔をした。

 町からも離れたこの場所には、かつてガソリンスタンドがあったのだろう。

 屋根の残骸が駐車場の脇に転がっている。

 静かな土地で穏やかに暮らすはずだった夫婦は、あまりに静かすぎた場所には馴染めなかった。

「ここは土壌もあまり良くない」

 ジャンの言葉にカイルとベリルは辺りを見回す。

 確かに、ここまで来た道程(みちのり)には草原が広がっていたのに、南に目を向けると雑草がまばらに生えている程度だ。

「昔、なんかの工場でもあったのかね」

 土地はよく調べて買わなきゃなとジャンは鼻を鳴らした。