「なんの真似だ」

 カイルは何をさせる気なんだと眉間のしわを深く刻んだ。

「よし、オーケーだ。前線が足りない」

「こんな子どもを出すつもりか」

「依頼内容はなんですか」

 ベリルは動揺もなく問いかける。

 それにカイルとジャンは少し当惑したが、怖がっていないのならとジャンは説明を始めた。

「A国からの要請でね。テロリストの一掃だよ」

「テロリスト」

「どっかの国のテロリストが、この国に潜伏してたのさ。まあそれは表向きで、実際は殺しを専門にしてる集団だそうだ」

 そしてジャンは南を指し示す。

「ここから百メートルほど行った所に廃屋があって、奴らはそこに潜伏している。十年ほど前に金持ちが広い土地を買って、でかい家を建てた」

 建てたはいいが結局、環境に馴染めず引っ越した。

 土地も売り払い、残ったのは朽ち果てた廃屋だけ。