この男も、他の人間と同様に灰色の迷彩服に身を包んでいる。

 屈強な男ばかりだと思いきや、中には華奢に見える者もいる。

 服の色は灰色だけでなく若草色など多彩だ。

 これだけの人間を一度に目にしたのは初めてなのか、ベリルは目を見開き視線を彷徨(うろつ)かせている。

「折角の休暇だったのによ」

「すまん。人手が足りなくてな」

「足りない?」

 聞き返したカイルに男はうなずきながら続ける。

「ああ、要請した人数だとちょいとばかり無理があってな。かといって遅らせる訳にもいかず。近くにいる仲間に片っ端から連絡してるのさ──って何だよこのガキ」

 男はようやくカイルの側にいるベリルに気が付いた。

「ちょっと訳ありでね」

「へえ」

 男はそれ以上は尋ねることもなくベリルを見下ろした。