──それから、カイルは小一時間ほど車を走らせる。
ベリルはふと、伝わる空気にきな臭さを感じて眉間にしわを刻んだ。
すると、深緑のテントが視界に入る。
そこは、かつての駐車場だった場所なのか、あちこちひび割れたコンクリートには四角く描かれた白線が両端に均一に十ほど並んでいる。
カイルはゆっくり車を止め、賑わいを見せる外に出た。
それにつられるようにベリルもドアを開く。
駐まっている車のほとんどはジープや4WDで、積まれている大きなケースに入っているのは行き交う男たちの服装からして、バーベキューセットでないことは明白だ。
「ようカイル!」
歩いていた男の一人がカイルを目にして笑顔で手を上げる。
「おう」
近づく男はカイルの知人なのか、同じく笑顔で応え軽く手を上げた。



