「三人は警察が来る前に逃げたが、捕まった二人は引き渡した次の日に釈放されちまった」

 それにベリルは苦い表情を浮かべる。優秀な弁護士がいたのか、上層部に組織とつながっていた人間がいたのかは不明だ。

「そうでしたか」

「どう見積もっても、お前しか思い浮かばねえ」

 引退して長い俺があんな武装した奴らに狙われる理由はない。

「私の事を探ろうとしたのでしょう」

 詳細を知っているとするなら、あなた以外にいないと考えるのが普通です。

「お前、敵多そうだしな」

「組織は潰しましたから問題はありません」

 しれっと答えたベリルに、そういう問題かよと頭を抱える。

「ラシードのことも事後報告にしやがって」

「使わない事が一番でした」

「そりゃそうだ」

 ずいぶんとでかい組織だったようだし。これはこれで結果オーライとも言えるのだろう。