カイルはゆっくりと上半身を起こし、立て掛けてある杖に手を伸ばす。

 慎重に立ち上がり、ドアに近づく。

 音を立てないようにノブを握って回す。

 空いた隙間から廊下の気配を窺い、部屋の前で止まった影に力の限り開けたドアをぶつける。

「っ!?」

 倒れ込む影を見やり、驚いているもう一方の影に杖の先端で首を突いた。

「ぐえ!?」

 えもいわれぬ叫びなど意に介さず、倒れた影の腹にも鋭い杖の先端を食らわせる。体格からして、いずれも男だろう。

 二つの影はヘルメットにナイトビジョンゴーグル、防弾ベストと完全武装をしているようだ。

 カイルは即座にそれを判断し、ベストの隙間から弱い部分を突いた。

「おい、お前ら」

 敵の一人を足で踏みつけ、眼前の一人に鋭い視線を向ける。