──ベリルが二十五歳となり、オーストラリアで休暇をとるという連絡を受けたカイルは内心、安堵していた。

「あいつもようやく、ゆっくりする気になったか」

 要請も増えているため、仕方のないことではあるのだがカイルの目から見ればベリルは働き過ぎなのである。

 あいつは馬鹿じゃないから、自分の体調管理くらいは出来ているだろうと思いつつ、無茶しやがるからなあと少しは心配している。

「おやすみカイルー」

「おう。寒くないようにして寝ろよ」

 声を掛けて自分の寝室に向かうラシードに返し、俺も寝るかとナイトテーブルの照明をオフにした。