今ここにいる事が、その全てなのだから。

 戦いでしか救えない命があるのなら、その罪を私は背負おう。

 これは、決して正義などではない。どんな理由があるにせよ、人が人を裁くなどあってはならない。

 どのみち私は生まれながらに罪人だ。人の業(わざ)で作られた私でも、この世界は生きる事を許してくれている。

 いつか、その日が来るまで──死が訪れるまで、私は戦い続けよう。

 それが自分のすべきことであるかのように、ベリルは真っ直ぐに前を見据える。

 過去は現在(いま)の糧でしかない。

 過去に囚われては、自分のすべきことを見失う。

 重要なのは過去に何をしたかではなく、これから何をするかだ。




 かくして、たゆたう波は終わりを告げ、見い出した己の道をひたすらに突き進み切り開いていく。