──仕事を終え、報告のためにカイルの自宅を訪れる。ついでに彼の体調を確認するためでもある。

 ベリルは彼の自宅近くに居を構えていた。

 カイルの体を心配しての事ではあるが、他にオーストラリアのダーウィンにも別宅がある。自分のためだけではなく、カイルのためでもあるのだ。

 昔のように、きままな旅が難しくなったカイルに、それならば身内の家が気楽だろうと購入に踏み切った。

 譲り受けたオレンジレッドのピックアップトラックはオーストラリアに置いてある。

 午前の軽い運動を終えたカイルは、昼食の前に休憩がてら寝転がっていたベッドで報告を受ける。

「よく頑張ったな」

 そんなカイルの労いの言葉に、ベリルは目を眇めた。

「そうでしょうか」

 私は何かをしただろうか。

「人質は救えたんだ。贅沢ぬかすな」

 仕事もしっかり完遂してる。