──ベリルにとって、この結果は気に入らないものとなった。しかしその評価は高く、それによりこの先「Marvelous mercenary(マーヴェラス・マーセナリー)」と呼ばれることとなる。

 作戦自体は難易度の高いものではなかったにも関わらず、彼の若さを感じさせない指示と言動から導かれた通り名だと言えるだろう。

 その名をベリルが気に入っているかと問われれば、答えは「NO」だ。

 通り名とは、そういうものだろう。

「素晴らしき傭兵」には、強い皮肉が込められている。彼の優しさはときに、偽善だと捉えられてしまう事は少なくはない。

 されど、偽善というにはあまりにも揺るぎのない意志であると知った者は、皮肉を込めずその名を口にする事になる。

 皮肉から始まった名は、多くの者に数々の意識を抱かれて広がっていく。そうしてついには、真実の名であると言わしめるのだ。