カルナは、目を見開き声もなく見つめるベリルに笑みを浮かべる。

[ずいぶんと大きくなったな。貫禄も出ている]

 あの時の青さはもう見えないな。立派な兵士になった。

[俺たちをはした金で買った連中は、反政府勢力とは名ばかりのテロリスト集団さ]

 体の良い名前で自分たちの主張を暴力で通そうとしているだけだ。

[どうやら、この国の体制が気にくわないらしくてね]

[それで何故、お前が──]

[解っているはずだ]

 カルナは国際テロリストだ。そう位置づけられている。

[格好のステレオだよな]

 声明なんか出さなくても、勝手に世界は騒いでくれる。勝手に思惑を付け加え、勝手に怯える。

 ベリルは、行き所の無い感情に歯を食いしばるカルナを見つめた。

[これが──]

 これが、現実か。私は、何を今さら驚いている。解っていたことではないか。