──決行の二分前。照明は切られ、ナイトビジョンゴーグルが作動する。緑色の画面で動く仲間を捉えて合図を待つ。

 戦闘を何度繰り返してもこの緊張感は嫌なものだ。

<アタック>

 ヘッドセットからの声にA班は作戦の通り、数分遅れて飛び出す。先頭を走る者はむやみに撃たず、後方の仲間が牽制するように建物に向けて乱射する。

 テロリストはそれに条件反射のごとく撃ち返してくるものの、暗視装置は持ち合わせていないのか、目標もなくただ闇雲に撃っていることが窺える。

 各チームの先頭は建物の壁に張り付き、筒状の塊を手にして付いていたピンを抜いて空いている窓から投げ入れる。

 それからすぐ、強い光と音が数秒ほど続き意を決して飛び込む。素早く銃を構え部屋中をくまなく捜索する者と入り口に張り付く者に別れて次の動作に向け一旦、落ち着いて体勢を立て直す。

<Cだ。侵入した>

<Bも侵入した>

<Dもだ>

「単独行動を控え、各自の判断で戦闘」

 ベリルはそう指示を出し、直に聞こえる銃声とヘッドセットからの音にA班の二人を指を差して飛び出せと入り口に向けて手を流す。

 制圧した部屋はLEDランタンで照らし、少しずつ追い詰めていく。