決行の十分前──それぞれのチームは待機場所でそのときを待っていた。
テロリストが立てこもっている建物は暗闇の中にありながら照明を当てられ、銃弾を浴びた壁を煌々と照らしている。
街灯のない町は異様さを放ち、得体の知れない何かが蠢いているようにも感じられる。
傭兵たちの緊張は拭われることなく高鳴り、ヘッドセットからの指示を待ちわびる。
決行五分前。各々(おのおの)がナイトビジョンゴーグルを装着し、目標地点を見つめる。
外は明るいが室内に入れば照明には頼れない。
使用しているゴーグルは自動で暗闇を検知し作動するタイプのものだ。
視界は多少、狭くはなるものの、暗い場所での戦闘には欠かせない。
四方からの攻撃は敵の動揺を誘うためのものだが、追い詰められたときに集まる部屋は決めているだろう。
なるべくなら人質を助けたい。それはベリルだけでなく、他の仲間たちも同じ考えだ。