数週間が経つも、どこからも声明が出ていない。

 捕らえたところで役立つ情報を持っていないのは明らかだ。

「同情の余地など無いだろ」

 コニーはやや怒りを帯びた声色でベリルを見据えた。

「可能であればだ。確保に重点を置く必要はない」

 そんな風に言われれば、念頭に置くくらいならと答える他はない。

 こちらも、殺しがしたくてここに来た訳じゃない。

 死なずに高い報酬が得られればそれでいい。

「殺しは嫌いか」

 B班のリーダー、リデルが問いかける。フランス人で多少、やさぐれた感はあるが涼しい眼差しの男だ。

「好きではないな。優先するものを間違えたりはせんよ」

 皮肉を交えた言葉に怒ることもなく、しれっと答えたベリルに目を丸くした。

 これではこっちが大人げないじゃないかと恥ずかしさに視線を逸らす。

 このなかじゃあ一番、小柄のくせに堂々としてやがる。

 若さが見えるのは外見だけかと呆れるくらいに肝が据わっている。