彼らは監獄で模範囚として真面目に努めていると報告を受けている。

 いつか、再会出来ればと思っていたが、それはこんな形ではない。

 とにかく、今は私情を挟むな。視界がぼやける思考はだめだ。

 テロリストの一掃という時点で、彼が助からないことは確定されている。

 あのときに向けられた瞳に偽りは無かった。

 ならば何故、彼がここにいる。

 助ける方法を探してはいけないと自分に何度も言い聞かせる。

 立てこもるまでに、彼らは住民を何人も殺害しているのだ。

 判断を誤れば仲間が犠牲になる。逃がせばさらに危機は増す。

「ベリル」

 ドナートの呼びかけに我に返る。

「ヘッドセットを」

 意識を引き戻し、ヘッドセットの入ったバッグを示した。

 それにブルーノも手伝って仲間たちにヘッドセットを配っていく。

 調整がてらに、これからの作戦をヘッドセットから伝える。