数週間も経ちながら立てこもり続けていられるということは、誰かが食料を密かに届けているということだ。

 人質の家族だろうという予想はついている。

 しかれどその心情を思えば、咎めることも止めることも出来ない。

「そうか。引き続き、頼む」

 仲間の肩を叩き、テントが張られた地点に戻る。

 見取り図と報告されている状況を交互に見やり思案していく。

 テロリストは五人、人質は二人。この中に女性はいないようだ。

 しかしふと、判明しているテロリストの名前に体が強ばった。

「カルナ・マシアス」

 その名に目を眇める。

 つい先日、判明したそうだが、どうして彼がここにいるのか。

 強制送還のあと、監獄に収容されていたはずだ。

「馬鹿な──」

 一ヶ月前には監獄にいたことを確認している。一体、何があったのか。

 カルナはベリルが十五のときに初めて加わった戦闘でベリルに銃を突きつけた男だ。

 あのときのテロリストたちを、ベリルはずっと気に掛けていた。