どんなに怒りを募らせても、どうにもならない事がある。

 己の力に限界があることくらい知っている。

 どうあがいても救えない命があることも、嫌というほど理解している。

 それでも──

「あがけなければ、なんとするのだ」

 奥歯を噛みしめ眼前を見据えた。




 ──それから小さな仕事をこなし続け、二十歳を迎えるというとき、今まで受けてきたものとは異なる規模の要請がベリルの元に寄せられる。

「覚悟はしておけよ」

「はい」

 カイルの言葉に気を引き締めて中東に向かった。